レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ

2014年9月30日 火曜日

血便を繰り返すミニチュアダックスの直腸ポリープ

17歳齢、雄のミニチュアダックスが1か月前より時々便に鮮血が付着すると来院した。
最近になり下血の量や回数が増えて元気や食欲がなくなったとのことだった。

直腸検査を行うと肛門から約6cm入った直腸に狭窄部位を認めた。検査に使用したグローブには少量の鮮血が付着した。

直腸がんの可能性もあるが、高齢のため積極的な外科治療などは希望はない。
そこで今回はミニチュアダックスに多い直腸の炎症性ポリープの可能性も考慮して消炎鎮痛剤であるピロキシカムを処方した。

ピロキシカムを服用し始めて4回目の投薬時には血便が軽減し、元気になってきた。食欲が増して体重の増加が認められた。服用2週間目の診察では体重が増えすぎて食事量を制限しているとの事だった。直腸検査では前回認められた狭窄の軽減を認めた。有形便の表面に少量の鮮血が付着することもあるが、オーナーはQOL(生活の質)の劇的な改善に大変満足され、治療を継続している。

ミニチュアダックスの飼育頭数の多い日本では、ミニチュアダックスの結腸直腸に炎症性ポリープが多発することが報告されている。これらは粘膜の潰瘍化と出血を起こす。治療には外科療法の他にステロイドや非ステロイド系消炎鎮痛剤、免疫を調整する薬等の効果が報告されている。

ピロキシカムは非ステロイド系消炎鎮痛剤であり、消炎効果のみならず膀胱移行上皮癌を始め多くのがんの増殖抑制効果も認められる薬である。今回はピロキシカム単独の治療に非常に良く反応した。長期継続には胃潰瘍の発現や腎機能の低下などに気を付ける必要がある。

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