レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ

2019年3月19日 火曜日

血小板減少により鼻出血を認めた肝臓脾臓型リンパ腫の犬

13歳のミニチュアダックスが急に元気がなくなり、嘔吐と食欲低下を主訴に来院しました。 
血液検査より肝パネルの増高と炎症マーカーであるCRPの上昇、血小板減少を認めました。
レントゲン検査では肝臓と脾臓の腫大を認め、

エコー検査では肝臓と脾臓実質の模様の変化を認めました。

下痢と食欲廃絶のため点滴治療を行いましたが、入院中に鼻出血を認め、血小板が少ないために止血に苦労しました。

第4病日の血液検査では黄疸と血液凝固異常を認めDICの状態となり、2次診療の予約を取りながらもDICの治療とステロイドの投与を開始しました。
ステロイドを投与した夜より少しずつ食べ始めました。第8病日、2次診療施設にて肝脾型リンパ腫の疑いであり、予後不良であると診断されました。
このタイプのリンパ腫は治療反応に乏しいことが多いが、まれに効果があることもあるとのことでした。
診断日より可能性にかけた化学療法を開始しました。黄疸と血液凝固異常は徐々に改善し、DICの状態は脱しつつありましたが、好中球数の増高と急な低下を繰り返し、血小板減少に加え貧血も発現しました。状態は安定しませんでしたが、調子に合わせて使えそうな抗がん剤を選択して治療を継続しました。
治療開始から1ヶ月後、ほぼ寛解の状態となり体調も安定してきました。

肝臓・脾臓の腫大もなくなりスッキリとした体型に戻りました。

治療開始から間もなく6ヶ月。まもなく化学療法卒業の予定です。
難治性タイプであることから、徐々に治療の間隔を空けていくこととしました。

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2019年3月11日 月曜日

犬の大きな眼瞼腫瘍切除と眼瞼フラップ形成術          マイボーム腺癌


マイボーム腺腫は高齢犬の眼瞼部に比較的良く発生し、切除により治癒します。小さなマイボーム腺腫でも根の部分を残すと再発してきますので、突出した部分だけでなく根部を含めたくさび状切除を行ったりします。切除した眼瞼の辺縁をぴったり合わせて縫合するとキレイに仕上がります。

眼瞼の1/3を超える大きさの腫瘤になると、切除後にそのまま寄せて合わせると引き連れが生じて、眼の形が変形してしまいますので、眼瞼フラップ形成術を行うことがあります。


12歳のラブラドール・レトリーバー。3年前より左上眼瞼に腫瘤認め、増大とともに自壊や出血をするようになりました。その他、全身の皮膚にも難治性の化膿病変があります。高齢であることから普段は眼軟膏を塗ったりして対処して、増大出血した際には眼瞼突出部分の凝固や結紮処置を行いましたが、いったん突出部が取れても数ヶ月すると再び生えてくるのを繰り返しました。今回はかなり増大し、出血も止まりにくく腫瘤が悪性化している可能性も疑われます。高齢ではありますが手術を検討しました。

左上眼瞼の腫瘤は眼瞼縁周の1/3以上。眼瞼フラップ形成術を計画しました。

上眼瞼をめくると腫瘤の基部は裏側まで入り込んでいますので、表面の切除では取り切れません。

術前に切開予定線をマーキング。

眼瞼の腫瘤を切除し、皮弁(フラップ)を形成し、縫合しました。
上眼瞼の1/3以上切除しましたが、目は小さくならずに済みました。

同時に右肘に増大した皮膚腫瘤を切除しました。
術後の病理検査では、眼瞼腫瘤はマイボーム腺癌(悪性)、肘の腫瘤は血管腫(良性)と診断されました。

術後1ヶ月の様子。出血はなくなり、眼の形も良好です。
先日、13歳の誕生日を迎え、元気に過ごしています。

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2019年1月28日 月曜日

日本獣医がん学会(大阪)に参加してきました           犬と猫の肥満細胞腫 分子標的薬


昨日は休診させていただき、大阪で開催された日本獣医がん学会に参加してきました。

今回のメインテーマは肥満細胞腫。
犬や猫では最も多く遭遇する腫瘍のひとつですので、がん学会でも何年かに一度は特集を組まれます。

肥満細胞腫の治療は、切除が可能なら外科切除が第一選択の治療となるのは今も昔も変わりません。

今回は切除不能な肥満細胞腫や全身に播種する悪性度の高い肥満細胞腫に対する治療について、分子標的薬を含めた化学療法の最新情報をブラッシュアップしてきました。
明日からの診療に活かしたいと思います。

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2019年1月13日 日曜日

歯肉に発生したエプリスを切除した犬の2例  口腔腫瘍     エプリス 口唇粘膜フラップ形成術


10歳齢、雌のウェルシュ・コーギー。2年前より歯周炎があり、デンタルガムや口腔のサプリメントを使用しています。1年半前に歯周病が悪化して、麻酔下でのスケーリングと動揺歯の抜歯を行いました。その後、しばらく落ち着いていたものの、1年前より口周りを触ると怒るようになりました。

左下顎第4前臼歯抜歯外側の歯肉に炎症が認められ、抗生物質や口腔のサプリメントなどを与えていましたが徐々に進行し潰瘍病変を形成しました。
潰瘍病変は徐々に増大し腫瘤形成をしたため、口腔内悪性腫瘍も疑い切除手術を計画しました。
術前検査では肺転移や明らかな骨溶解は認めず、まずは切開生検を行いました。

病理組織検査の結果はセメント質形成性エプリスと診断されました。これは慢性炎症を原因に発生したことが予想され、腫瘤底部の臼歯に歯根端膿瘍が存在することを疑いました。
後日改めて手術を行いました。
まずは、エプリス底部の右下顎第4前臼歯抜歯をしました。

次に表層のエプリス本体を切除しました。腫瘤底部の歯槽骨を掻爬して、歯根端膿瘍部の洗浄を行いました。

最後に腫瘤切除による歯肉欠損部の口唇粘膜フラップ形成術を行いました。

病理組織検査の結果はセメント質形成性エプリスと歯根部に慢性炎症の所見が認められました。
術後は徐々に痛みが和らぎ、口を触らせるようになりました。
今では以前のようにボールを咥えたりしています。


4歳齢、雄のラブラドール・レトリーバー。1週間前に歯磨きの際に歯肉のしこりに気づいて来院しました。

腫瘤はφ11×11×5mmで、左上顎第3前臼歯外側の歯肉から発生しています。歯周炎もなく歯はキレイです。
木の枝や布製のおもちゃなどを良くかじっており、左下顎の犬歯先端は破砕しており、歯肉腫瘤と接触している部位は一部自壊しています。
切除生検をお勧めしましたが、臨床症状はなく、いったん経過を観察することになりました。

3ヶ月後、しこりはφ1.4×1.4×0.6mmに増大し、手術をすることになりました。

口腔腫瘍の可能性がありますのが、術前検査では明らかな転移所見や局所の骨浸潤ははありません。
そこで悪性ならばT1N0M0ステージⅠの口腔腫瘍として外科切除を計画しました。

しこりの底部の歯に動揺所見はなく温存し、肉眼上正常な歯肉部にて切除し、歯肉欠損部に口唇粘膜フラップ形成術を行いました。
術後はエリザベスカラーを装着し、しばらくはふやかしたフードを与えることとしました。

病理検査の結果は骨形成性エプリスと診断されました。
術後、エリザベスカラーを外している時にこすったのか、歯肉縫合部は離解しましたが、再生してきた歯肉で置換されました。


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2018年12月11日 火曜日

犬のリンパ腫多剤併用化学療法 小豆ちゃん ウェルシュ・コーギー


小豆ちゃんは12歳になるウェルシュ・コーギー。
一昨日に左顎下に2.3cm大のしこりに気づき、来院しました。
その他に右の腰部には2ヶ月前に発見した2.7cm大のしこりがあり、こちらは増大傾向はありません。
細胞診を行うと、左下顎リンパ節からは中~大型のリンパ球を認め、リンパ腫を疑いました。
右腰部腫瘤からマクロファージなどを認め、こちらは悪性所見を認めませんでした。
各種検査より多中心型リンパ腫ステージⅠaと診断し、多剤併用化学療法を開始しました。

治療に良く反応し、抗がん剤の副反応もほとんど出さずに7ヶ月の化学療法を終了し、本日卒業といたしました。
花飾りを付けて記念撮影、パチリ。
今後は定期検診の体制に入ります。オーナー様と相談の上、パルス療法を継続することにしました。

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