レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ

2016年11月 7日 月曜日

猫の鼻が腫れた リンパ腫 レオどうぶつ病院腫瘍科 桂台 みたけ台 桜台


11歳雌の猫ちゃん鼻の腫れを主訴に来院しました。
2か月前より鼻炎の症状が始まり、抗生物質による副鼻腔炎の治療を行いましたが改善しません。
1か月前より
急速に鼻が腫れてきました。
鼻が詰まり匂いがしなくなったためか食欲も落ち、見る見るうちに体重も減ってヨロヨロしてきたとの事でした。



眉間にあるしこりはφ3x3x1.5㎝大で硬く、左眼は瞬膜が突出し、眼球が腫瘍に圧迫されて外側に変位していました。

年齢からも腫瘍性疾患を疑い、細胞診を行いましたが、有意な腫瘍細胞は採取されませんでした。

高齢猫の鼻に発生する腫瘍には癌が多く、難治性の鼻炎症状から始まり、腫脹による顔面の変形が見られます。
積極的な外科療法は出血などで亡くなるリスクが高く、効率に再発します。放射線照射はある程度の効果が報告されていますが、治療の難しい腫瘍です。

鼻の癌と似たような症状と顔面の変形の見られる腫瘍に鼻にできるリンパ腫があります。急速に増大した経過からはリンパ腫の可能性も疑われます。
リンパ腫は血液系腫瘍で通常はリンパ節などのリンパ組織などに病変が認められますが、節外型リンパ腫として鼻に発生するタイプがあります。
リンパ腫であった場合には治療は外科切除ではなく、放射線療法や化学療法が効く可能性があり、他の癌とは治療法が大きく異なります。

オーナーさんは放射線療法は希望されません。リンパ腫であるかもしれないという可能性に賭けて、L-アスパラギナーゼによる診断的治療を行うこととしました。
この抗がん剤は、リンパ腫には良く効きますが、その他の癌には全く効果がありません。

注射後、翌日より鼻のしこりの縮小が認められ6日後に来院した時には、元の顔に戻り、食欲も出てきたとの事でした。


治療の反応が認められたことより、鼻に発生した節外型リンパ腫と臨床診断し、治療を開始しました。





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2016年9月 7日 水曜日

三年かけて増数増大した犬の乳腺腫瘍 レオどうぶつ病院腫瘍科 青葉区 桂台 桜台 みたけ台 たちばな台

10歳のミニチュアダックスの女の子。

3年前に乳腺部にφ1‐2㎜の小さなしこりを二つ発見しました。
2年前には3カ所に増え、大きさも最大のものでφ1㎝に増大しました。
その後、いくつかの病院で乳腺腫瘍の切除手術を勧められましたが、怖くなりそのままになっていました。

当院初診時、最大のしこりはφ4㎝。左右両側の乳腺全域に9カ所のしこりが散在していました。

飼い主さんの心配は手術の痛み、麻酔のリスク、何よりこの子は入院することは無理だろうとの事でした。
そこで、乳腺腫瘍について詳しく説明を行いました。

犬の乳腺腫瘍の良悪比率は約50%であり、複数個あるしこりの半分はがんの可能性もあるということ。
この3年間で進行し、大きさでいうとステージⅡであり、転移をするリスクが高まっていること。
肺に転移をしてしまったら、手術で治すことは難しいこと。

お話をしているうちに飼い主さんの心配事は、早くしないと手術の機を逸してしまい、命を落とす可能性がある事に変わっていました。

次に手術方法を検討しました。
この数年間で大きさの変化だけでなくしこりの数も増えてきているので同時に卵巣摘出術もおこなった方が良いと判断しました
。毎回の発情後には偽妊娠が認められ、ホルモン分泌異常も腫瘍の増数増大に関連していることが疑われます。

両側の乳腺組織全域にしこりが散在していることから手術は2回に分けて、初回手術では最大のしこりを含む右側乳腺全切除とリンパ節郭清、卵巣子宮摘出術を計画しました。

痛みに関してはモルヒネの注射とフェンタニルパッチを使用して対応することとしました。

入院に関してリスクは伴いますが、回復状態によっては早めに退院して通院で対応する選択肢も提示しました。

術前の血液検査では異常はなく、触診とレントゲン検査ではリンパ節の腫大はなく、肺転移を疑う所見もありませんでした。
そこで腫瘍の進行度はT2N0M0ステージⅡの乳腺腫瘍の疑いで手術を行いました。






フェンタニルパッチにより痛みが緩和されたためか、手術当日の夜から食事も食べました。
心配していた入院も落ち着いて過ごせ、4日間の入院後に退院しました。


病理検査の結果は最大のしこりを含め、いずれも良性で乳腺腺腫、良性乳腺混合腫瘍と診断されました。
1か月後に反対側の乳腺腫瘍の手術予定を行う予定としました。

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2016年2月15日 月曜日

エルザちゃん 無事帰国し再会

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2年前に左前肢手根部に発生した線維肉腫を断脚手術で克服し、その後ご家族の転勤でシンガポールで過ごしていたエルザちゃんが帰国しました。今日は久しぶりの再会を果たせました。お耳の掃除と血液検査。スタッフのことも覚えてくれていたようです。ご褒美のイチゴを貰ってご満悦。

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2015年9月13日 日曜日

眼瞼腫瘍 組織球腫 ペットのがん 青葉区 麻生区

犬の上眼瞼に発生した腫瘍の切除とフラップ形成術

8歳のシェルティーの上まぶたにしこりが徐々に増大してきたと来院しました。
しこりは左上眼瞼にφ4×3.5×3㎜大で赤くドーム状に膨らんでいました。
細胞診を行うと、透明な細胞質を持つ円形細胞が多数採取され、組織球腫などを疑いました。
組織球腫は数か月の経過で増大し、やがて自然に退縮し消失することが多い良性腫瘍です。
そこでしばらく経過を観察することとしました。


約1か月半が経過し、しこりは徐々に増大してφ8×7×4㎜大となり、本人も気にして引っかいて傷つけてしまうようになりました。
再度、細胞診を行い病理検査センターに診断してもらった結果、形質細胞腫と診断されました。
形質細胞腫は組織球腫と同様に良性腫瘍ではありますが自然退縮はせず、増大し続けるために外科手術を行うこととしました。

発生部位が上眼瞼であることから拡大切除すれば目が閉じなくなるなどの機能障害が起こる可能性もあります。
そこで、瞼の機能を温存できるフラップ形成術を行うこととしました。

腫瘤は結膜側への固着はなく、眼瞼辺縁をわずかに残して切除できました。
作成したフラップ(皮弁)を矢印の方向に移動して欠損部をふさぎ、眼瞼辺縁と縫合しました。

手術翌日の退院時には術創周囲は腫脹していましたが、日毎に腫脹は軽減して2週間後の抜糸に来院したときには正常な眼瞼の機能が認められました。



術後の病理検査結果では、腫瘍は取り切れており組織球腫と診断されました。

細胞診では組織球腫と形質細胞腫の判別が難しい場合もあるようです。

術後の経過は良好で術後6か月現在、再発も認められません。

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2015年1月13日 火曜日

基礎疾患を抱えた犬の形質細胞腫に対する無麻酔での結紮処置

16歳のジャックラッセルテリアの額にしこりができました。体には同様のイボがいくつも認められます。
このワンちゃんは副腎皮質機能低下症(アジソン)、甲状腺機能低下症、皮膚肥満細胞腫、慢性腎不全などいくつもの病気の療養中であるために経過観察をしていましたが、額のしこりは徐々に増大しました。本人も気にして引っ掻いて出血するようになり、まずは細胞診を行うこととしました。


細胞診では透明度の高い細胞質を豊富に含む円形細胞を多数採取し、腫瘍性病変を疑いました。
病理診断医により形質細胞腫の可能性が疑われました。
形質細胞腫は良性の腫瘍ですが、徐々に増大し今後更にQOLを落とすことが予想されました。
しかし、全身麻酔などのストレスをきっかけにホルモンのバランスが崩れたり、腎不全が悪化することが予想されます。
しこりの形状は基部にくびれのある有茎状であったために、局所麻酔による結紮処置を行うこととしました。

腫瘤基部の周囲に局所麻酔剤を極細針にて分注し局所麻酔をして、

外科用結紮糸にてしこり基部のくびれた部分を結紮。
これによりしこりへの血流が遮断され、うまくいくと1-2週間でしこりは脱落します。
同時に左前肢の手首にあったイボも結紮しました。

2週間後の来院時にはしこりは脱落しており、付け根の部分がかさぶたになっていました。

手根部のイボは基部が太く、わずかなくびれしかありませんでしたが、うまく取れたようです。

結紮処置から1か月が経ち、しこりのあった部分に発毛し、分かりにくくなりました。
全身麻酔をかけずに処置ができたので体調を崩すこともなく、療養中です。

結紮処置では外科切除と違い基部の細胞が残るため再発のリスクがあり、通常は腫瘍病変には適応となりません。
しかし今後、再発してくるとしても、かなりの時間稼ぎになりQOLを改善することができました。
色々な理由で麻酔がかけられなかったり、手術ができない場合に結紮処置はひとつの選択肢になりえると考えられます。

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