レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ

2019年1月28日 月曜日

日本獣医がん学会(大阪)に参加してきました           犬と猫の肥満細胞腫 分子標的薬


昨日は休診させていただき、大阪で開催された日本獣医がん学会に参加してきました。

今回のメインテーマは肥満細胞腫。
犬や猫では最も多く遭遇する腫瘍のひとつですので、がん学会でも何年かに一度は特集を組まれます。

肥満細胞腫の治療は、切除が可能なら外科切除が第一選択の治療となるのは今も昔も変わりません。

今回は切除不能な肥満細胞腫や全身に播種する悪性度の高い肥満細胞腫に対する治療について、分子標的薬を含めた化学療法の最新情報をブラッシュアップしてきました。
明日からの診療に活かしたいと思います。

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2019年1月13日 日曜日

歯肉に発生したエプリスを切除した犬の2例  口腔腫瘍     エプリス 口唇粘膜フラップ形成術


10歳齢、雌のウェルシュ・コーギー。2年前より歯周炎があり、デンタルガムや口腔のサプリメントを使用しています。1年半前に歯周病が悪化して、麻酔下でのスケーリングと動揺歯の抜歯を行いました。その後、しばらく落ち着いていたものの、1年前より口周りを触ると怒るようになりました。

左下顎第4前臼歯抜歯外側の歯肉に炎症が認められ、抗生物質や口腔のサプリメントなどを与えていましたが徐々に進行し潰瘍病変を形成しました。
潰瘍病変は徐々に増大し腫瘤形成をしたため、口腔内悪性腫瘍も疑い切除手術を計画しました。
術前検査では肺転移や明らかな骨溶解は認めず、まずは切開生検を行いました。

病理組織検査の結果はセメント質形成性エプリスと診断されました。これは慢性炎症を原因に発生したことが予想され、腫瘤底部の臼歯に歯根端膿瘍が存在することを疑いました。
後日改めて手術を行いました。
まずは、エプリス底部の右下顎第4前臼歯抜歯をしました。

次に表層のエプリス本体を切除しました。腫瘤底部の歯槽骨を掻爬して、歯根端膿瘍部の洗浄を行いました。

最後に腫瘤切除による歯肉欠損部の口唇粘膜フラップ形成術を行いました。

病理組織検査の結果はセメント質形成性エプリスと歯根部に慢性炎症の所見が認められました。
術後は徐々に痛みが和らぎ、口を触らせるようになりました。
今では以前のようにボールを咥えたりしています。


4歳齢、雄のラブラドール・レトリーバー。1週間前に歯磨きの際に歯肉のしこりに気づいて来院しました。

腫瘤はφ11×11×5mmで、左上顎第3前臼歯外側の歯肉から発生しています。歯周炎もなく歯はキレイです。
木の枝や布製のおもちゃなどを良くかじっており、左下顎の犬歯先端は破砕しており、歯肉腫瘤と接触している部位は一部自壊しています。
切除生検をお勧めしましたが、臨床症状はなく、いったん経過を観察することになりました。

3ヶ月後、しこりはφ1.4×1.4×0.6mmに増大し、手術をすることになりました。

口腔腫瘍の可能性がありますのが、術前検査では明らかな転移所見や局所の骨浸潤ははありません。
そこで悪性ならばT1N0M0ステージⅠの口腔腫瘍として外科切除を計画しました。

しこりの底部の歯に動揺所見はなく温存し、肉眼上正常な歯肉部にて切除し、歯肉欠損部に口唇粘膜フラップ形成術を行いました。
術後はエリザベスカラーを装着し、しばらくはふやかしたフードを与えることとしました。

病理検査の結果は骨形成性エプリスと診断されました。
術後、エリザベスカラーを外している時にこすったのか、歯肉縫合部は離解しましたが、再生してきた歯肉で置換されました。


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2018年12月11日 火曜日

犬のリンパ腫多剤併用化学療法 小豆ちゃん ウェルシュ・コーギー


小豆ちゃんは12歳になるウェルシュ・コーギー。
一昨日に左顎下に2.3cm大のしこりに気づき、来院しました。
その他に右の腰部には2ヶ月前に発見した2.7cm大のしこりがあり、こちらは増大傾向はありません。
細胞診を行うと、左下顎リンパ節からは中~大型のリンパ球を認め、リンパ腫を疑いました。
右腰部腫瘤からマクロファージなどを認め、こちらは悪性所見を認めませんでした。
各種検査より多中心型リンパ腫ステージⅠaと診断し、多剤併用化学療法を開始しました。

治療に良く反応し、抗がん剤の副反応もほとんど出さずに7ヶ月の化学療法を終了し、本日卒業といたしました。
花飾りを付けて記念撮影、パチリ。
今後は定期検診の体制に入ります。オーナー様と相談の上、パルス療法を継続することにしました。

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2018年6月17日 日曜日

GIST(胃腸管間質細胞腫瘍)が疑われた犬の腹腔内腫瘍     横浜市青葉区 レオどうぶつ病院 腫瘍科


健康診断を行った12歳雌ののシーズー。
腹部のレントゲン検査で下腹部に腫瘤を発見した。


エコー検査では腫瘤は脾臓の尾部に接していたが、明らかに脾臓から連続している所見は認めなかった。
消化管からの発生の可能性もあったが、嘔吐や下痢等の消化器症状は認めなかった。
明らかに切除不能の所見はなく、切除生検を目的に開腹手術を行った。

下腹部正中切開を行うと腹膜直下に腫瘤を認めた。
腫瘤を引き出すと回腸より発生していた。
腫瘤を挟む両端の正常な腸管で切除した。


腸管の切除断端を端々縫合し常法通り閉腹した。

切除した腫瘤は腸管の漿膜面より発生していた。


肉眼上は腫瘤の腸管内腔への突出は認めなかった。

病理組織検査の結果は非上皮性悪性固形腫瘍と診断された。
免疫染色の結果から典型的な所見は認められなかったが
GIST(胃腸管間質細胞腫瘍)の可能性が疑われた。

手術翌日より液体状の消化器疾患用療法食を開始し、退院した。
順調に流動食を食べていたが排便がなく、術後5日目に元気・食欲の廃絶と嘔吐が認められた。
レントゲン検査から明らかな腸閉塞等の所見は認めなかったが、術後合併症である腹膜炎の可能性も疑われた。
その後、黒色の軟便を排出し始めた。徐々に便の色は茶色くなり始め食欲も戻り、術後10日目に抜糸した。

術後5ヶ月現在、食欲旺盛であり、腫瘍の再発や転移に関して経過観察中である。

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2018年6月 8日 金曜日

犬の乳腺腫瘍に対する低侵襲手術と術後管理           横浜市青葉区 レオどうぶつ病院 腫瘍科 



11歳のオーストラリアンケルピーの女の子が乳腺部のしこりに気づき来院しました。
左第3乳腺部に存在するしこりはφ2.3×1.8cmで硬く、乳頭から連続しており、底部の筋層との固着はありません。
この2週間で増大が認められています。

また、1年半前に右前胸部皮下に発見し、細胞診で脂肪腫を疑っている腫瘤も増大してきているとのことでした。

術前の左第3乳腺部腫瘤の細胞診では悪性乳腺腫瘍を疑いました。

顕微鏡写真は乳腺部腫瘤の細胞診で悪性所見が認められる。(乳腺腫瘍の細胞診では良悪の判定はできないと言われているが、悪性所見が認められる場合は病理検査の結果も悪性であることが多い)

画像検査より明らかな転移を疑う所見はなく、ステージ1の悪性乳腺腫瘍を疑い根治目的の外科手術をすることになりました。
右胸壁皮下腫瘤は良性の脂肪腫の疑いでしたが徐々に増大が認められ、オーナーの希望から同時に摘出することとしました。


乳腺腫瘍の摘出術には乳腺組織全摘出などの拡大切除の術式もありますが、最近の報告により術後生存期間には手術の大きさよりも腫瘍の悪性度や転移所見が関与することが分かってきました。患者の年齢や想定する腫瘍の種類を総合的に判断し、低侵襲でありながら効果のあると考えられる術式を検討しました。

左第3乳腺部のしこりは周囲の正常な乳腺組織を含めての切除を、右胸壁の皮下腫瘤は直上の皮膚切開をしての切除を行うこととしました。


左第3乳腺部のしこりは、周囲の正常な乳腺組織を含めて切除しました。腫瘤底部の固着は認められません。


右胸壁皮下腫瘤は直上の皮膚を切開し、腫瘤を周囲組織と鈍性に剥離し摘出しました。

術後は傷口を舐めないようにエリザベスウェアーを着用しました。
術後の経過は非常に良好で翌日に退院しました。

後日、病理検査の結果は左第3乳腺部は悪性筋上皮細胞腫と、右胸壁皮下腫瘤は脂肪腫と診断されました。
ご希望によっては術後の補助的化学療法も適応となりますが、ステージ1の段階で外科手術により腫瘍を切除できましたので、今後は再発や転移を注意しながら経過観察をしていきます。



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