レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ

2015年9月13日 日曜日

眼瞼腫瘍 組織球腫 ペットのがん 青葉区 麻生区

犬の上眼瞼に発生した腫瘍の切除とフラップ形成術

8歳のシェルティーの上まぶたにしこりが徐々に増大してきたと来院しました。
しこりは左上眼瞼にφ4×3.5×3㎜大で赤くドーム状に膨らんでいました。
細胞診を行うと、透明な細胞質を持つ円形細胞が多数採取され、組織球腫などを疑いました。
組織球腫は数か月の経過で増大し、やがて自然に退縮し消失することが多い良性腫瘍です。
そこでしばらく経過を観察することとしました。


約1か月半が経過し、しこりは徐々に増大してφ8×7×4㎜大となり、本人も気にして引っかいて傷つけてしまうようになりました。
再度、細胞診を行い病理検査センターに診断してもらった結果、形質細胞腫と診断されました。
形質細胞腫は組織球腫と同様に良性腫瘍ではありますが自然退縮はせず、増大し続けるために外科手術を行うこととしました。

発生部位が上眼瞼であることから拡大切除すれば目が閉じなくなるなどの機能障害が起こる可能性もあります。
そこで、瞼の機能を温存できるフラップ形成術を行うこととしました。

腫瘤は結膜側への固着はなく、眼瞼辺縁をわずかに残して切除できました。
作成したフラップ(皮弁)を矢印の方向に移動して欠損部をふさぎ、眼瞼辺縁と縫合しました。

手術翌日の退院時には術創周囲は腫脹していましたが、日毎に腫脹は軽減して2週間後の抜糸に来院したときには正常な眼瞼の機能が認められました。



術後の病理検査結果では、腫瘍は取り切れており組織球腫と診断されました。

細胞診では組織球腫と形質細胞腫の判別が難しい場合もあるようです。

術後の経過は良好で術後6か月現在、再発も認められません。

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2015年1月13日 火曜日

基礎疾患を抱えた犬の形質細胞腫に対する無麻酔での結紮処置

16歳のジャックラッセルテリアの額にしこりができました。体には同様のイボがいくつも認められます。
このワンちゃんは副腎皮質機能低下症(アジソン)、甲状腺機能低下症、皮膚肥満細胞腫、慢性腎不全などいくつもの病気の療養中であるために経過観察をしていましたが、額のしこりは徐々に増大しました。本人も気にして引っ掻いて出血するようになり、まずは細胞診を行うこととしました。


細胞診では透明度の高い細胞質を豊富に含む円形細胞を多数採取し、腫瘍性病変を疑いました。
病理診断医により形質細胞腫の可能性が疑われました。
形質細胞腫は良性の腫瘍ですが、徐々に増大し今後更にQOLを落とすことが予想されました。
しかし、全身麻酔などのストレスをきっかけにホルモンのバランスが崩れたり、腎不全が悪化することが予想されます。
しこりの形状は基部にくびれのある有茎状であったために、局所麻酔による結紮処置を行うこととしました。

腫瘤基部の周囲に局所麻酔剤を極細針にて分注し局所麻酔をして、

外科用結紮糸にてしこり基部のくびれた部分を結紮。
これによりしこりへの血流が遮断され、うまくいくと1-2週間でしこりは脱落します。
同時に左前肢の手首にあったイボも結紮しました。

2週間後の来院時にはしこりは脱落しており、付け根の部分がかさぶたになっていました。

手根部のイボは基部が太く、わずかなくびれしかありませんでしたが、うまく取れたようです。

結紮処置から1か月が経ち、しこりのあった部分に発毛し、分かりにくくなりました。
全身麻酔をかけずに処置ができたので体調を崩すこともなく、療養中です。

結紮処置では外科切除と違い基部の細胞が残るため再発のリスクがあり、通常は腫瘍病変には適応となりません。
しかし今後、再発してくるとしても、かなりの時間稼ぎになりQOLを改善することができました。
色々な理由で麻酔がかけられなかったり、手術ができない場合に結紮処置はひとつの選択肢になりえると考えられます。

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2015年1月 6日 火曜日

断脚手術から1年 線維肉腫を克服したエルザちゃん 青葉区


右前肢に発生した線維肉腫を断脚手術により克服したゴールデン・レトリバーのエルザちゃん。
ご家族と共にシンガポールに移り、間もなく術後1年。
一年中暖かい現地より元気なお便りが届きました。
大好きなスイカが嬉しくって走ってます。

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2014年12月29日 月曜日

切除によりQOLの改善した犬の肝臓に発生した巨大腫瘍

16歳の犬が2週間前より食欲低下により動物病院受診し、腹腔内巨大腫瘤の存在を指摘された。

手術は不能とのことで光線温熱療法を希望して当院に来院された。
初診時、レントゲン検査でバリウム造影により消化管をマーキングすると、腫瘤は胃を頭背側に腸管を尾背側に圧迫して存在していた。

エコー検査ではφ11cm大の腫瘤はほぼ全周を確認できたが脾臓との連続はなく、肝臓の腫瘤が疑われた。
この1週間で腫瘤による消化管の圧迫からか食欲が廃絶していた。
光線温熱療法をご希望であったが効果が現れるまでの時間的な余裕はなく、リスクは伴うが可能性に賭けた腫瘤摘出術をお勧めした。何とか摘出が可能であった場合には圧迫が解除されQOL(生活の質)の改善が期待された。
利点、欠点を検討された結果、オーナーの希望により当院で肝臓腫瘤摘出手術を実施した。当日は獣医腫瘍外科医の林先生を招いて行った。

お腹はパンパンに張り、今にも弾けそうだ。少しの衝撃でも肝臓腫瘤の破裂の危険性があった。

開腹するとすぐに腫瘤が現れた。多数の嚢胞からなる腫瘤の破裂がすでにいくつもあり、周囲の膜組織との癒着が認められた。
癒着を慎重に剝離していくと腫瘤の基部は細くなっており、肝臓の内側左葉に連続しているのが確認できた。

腫瘤基部の正常に見える肝臓部分で結紮し離断した。
手術での大きな出血もなかったが、術後しばらくは貧血が徐々に進み、なかなか炎症も治まらなかった。

術後10日で退院し、少しずつ食欲が戻ってきた。
病理組織検査の結果は非上皮性悪性腫瘍であった。

術後2週間で抜糸をした。お腹はすっきりして食欲は戻りつつあった。
炎症も落ち着き始め、貧血も徐々に改善してきた。

術後2カ月の検診時には食欲も元気も戻り、転移を疑う所見も認めなかった。

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2014年9月30日 火曜日

血便を繰り返すミニチュアダックスの直腸ポリープ

17歳齢、雄のミニチュアダックスが1か月前より時々便に鮮血が付着すると来院した。
最近になり下血の量や回数が増えて元気や食欲がなくなったとのことだった。

直腸検査を行うと肛門から約6cm入った直腸に狭窄部位を認めた。検査に使用したグローブには少量の鮮血が付着した。

直腸がんの可能性もあるが、高齢のため積極的な外科治療などは希望はない。
そこで今回はミニチュアダックスに多い直腸の炎症性ポリープの可能性も考慮して消炎鎮痛剤であるピロキシカムを処方した。

ピロキシカムを服用し始めて4回目の投薬時には血便が軽減し、元気になってきた。食欲が増して体重の増加が認められた。服用2週間目の診察では体重が増えすぎて食事量を制限しているとの事だった。直腸検査では前回認められた狭窄の軽減を認めた。有形便の表面に少量の鮮血が付着することもあるが、オーナーはQOL(生活の質)の劇的な改善に大変満足され、治療を継続している。

ミニチュアダックスの飼育頭数の多い日本では、ミニチュアダックスの結腸直腸に炎症性ポリープが多発することが報告されている。これらは粘膜の潰瘍化と出血を起こす。治療には外科療法の他にステロイドや非ステロイド系消炎鎮痛剤、免疫を調整する薬等の効果が報告されている。

ピロキシカムは非ステロイド系消炎鎮痛剤であり、消炎効果のみならず膀胱移行上皮癌を始め多くのがんの増殖抑制効果も認められる薬である。今回はピロキシカム単独の治療に非常に良く反応した。長期継続には胃潰瘍の発現や腎機能の低下などに気を付ける必要がある。

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