ロデムの部屋 ~これニャんだろう?~

2018年2月14日 水曜日

食べているのにどんどん痩せてくる高齢猫の甲状腺機能亢進症



詩音ちゃんは19歳の高齢猫。ここのところ痩せてきたと来院しました(写真は痩せる前のもの)。
かつては12kgあった体重が6kgにまで落ちていました。
高齢猫に多い腎不全や、甲状腺機能亢進症も疑われます。
健康診断を兼ねて血液検査と甲状腺ホルモン検査を行いました。
検査結果は年なりの腎不全はありましたが、著しい甲状腺ホルモン値の上昇が認められました。

高齢猫に多い甲状腺機能亢進症では代謝が活発になりすぎ、どんどん痩せてきます。
年齢の割には元気でよく食べるのに痩せてくるのが典型的な症状です。
心拍数を計ると一分間に266回と、通常の倍の早さです。
このままではいずれ消耗死してしまいます。

治療は甲状腺ホルモンの過剰な生成を抑える薬を投薬します。甲状腺ホルモンを作る材料となるヨウ素を抑えた療法食による治療法もあります。
詩音ちゃんは投薬が難しく、食事療法も試しましたが、徐々に食欲も落ちてきました。同じ時期に迷子の子猫を保護し、飼い主が見つからずに同居することになりました。
子猫は遊びたくて詩音ちゃんに絡んできます。詩音ちゃんはいよいよ苦しくなり来院しました。

エコー検査をすると胸水が大量に貯まっていました。

命がけで鎮静麻酔をかけて胸水を抜去し一命を取り留めました。
その後、飼い主さんがいろいろと試し、ちゅーるに混ぜると投薬ができることがわかりました。
抗甲状腺薬を飲み始めると心拍数は下がり始め、以前は1分間に266回だったのが188回と、ほぼ正常値となりました。それに伴い、減少し続けていた体重も戻り始めました。

先日、子猫の去勢手術も済みました。詩音ちゃんは子猫とケンカをしながらも、ますます元気にやっているそうです。

投稿者 レオどうぶつ病院 | 記事URL