レオどうぶつ病院 診療日記

2018年10月11日 木曜日

内科療法が奏功した胆管肝炎の犬の2例  レオどうぶつ病院   青葉区 たちばな台 みたけ台 桜台 桂台


血液検査で肝臓の数値が上昇した場合、レントゲンやエコーなど画像検査で肝臓に変化がないか確認しますが、画像上は明らかな異常を認めないことがあります。甲状腺機能低下症などの基礎疾患も認めず、利胆剤や肝保護剤などお薬の投与でも改善しなかった2例を紹介します。

症例① ジャックラッセルテリア 10歳齢 雄。

健康診断に来院し、血液検査にて肝臓パネルの軽度上昇を認めました。
元気や食欲もあり一般状態は良好です。
一年後の健診では、徐々に肝臓の数値は上昇してきました。
X線検査では肝臓の軽度腫大を認めました。

超音波検査では胆嚢内にわずかな胆泥を認めるものの、肝実質には明らかな異常は認めませんでした。

その後、肝臓のサプリメントや食事療法を行い、半年後に再検査を行いました。
肝臓のパネルは更に上昇し、アルブミンの低下から肝機能の低下も予測されたため、2次診療施設を受診し腹腔鏡下での肝生検を行い、病理組織検査により胆管肝炎と診断されました。
ステロイド剤、利胆剤の治療を開始し、肝臓のパネルは徐々に改善しました。

治療開始から4ヶ月現在、ステロイド剤を漸減しながらも経過は良好です。

症例② 柴犬 10歳齢 雄。


元気、食欲の低下で来院し、血液検査にて肝臓パネルの異常値を認めました。
X線検査では肝臓の軽度腫大を認めました。

超音波検査では胆嚢壁の肥厚を認め、胆嚢炎を疑いました。

食欲低下のため、自宅での薬の服用は困難であり、通院と自宅での皮下点滴治療を開始しました。
その後も食欲はなく、肝臓のパネルも上昇傾向であったため、2次診療施設を受診し腹腔鏡下での肝生検を行い、病理組織検査により胆管肝炎と診断されました。
ステロイド剤、利胆剤の治療には反応せず、肝臓のパネルは更に上昇したため免疫抑制剤の追加投与を開始しました。
その後、食欲は改善し、肝臓のパネルも改善傾向となりましたが、下痢が続きました。
ステロイド剤と免疫抑制剤を徐々に減らしながらも少しずつ肝臓の数値は下がってきました。

治療開始から4ヶ月。下痢も改善して減少していた体重も戻りました。以前の様にドライフードも食べる様になりました。
血液検査の肝臓パネルも改善傾向で、ステロイドを休薬し免疫抑制剤も減薬中です。

一般にステロイドを投与すると肝臓の値は上がりますので、肝臓の病気にステロイドをすぐに使うことはありません。
しかしながら肝臓の病態が免疫の絡んだ炎症だった場合には、ステロイドの投与で改善してくることがあります。
免疫の絡んだ疾患の場合はステロイドや免疫抑制剤を使った長期の治療となることが多いので、リスクを伴いますが、肝生検により確定診断がつけると治療方針が立てやすくなります。

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2018年10月 6日 土曜日

脱腸が認められたチワワの鼠径ヘルニア整復


10歳齢、雌のチワワ。以前より右内股が腫脹しており、治療も兼ねて7歳時に避妊手術を行ったが腫れは引かず、最近になって急速に増大してきたと来院されました。

右鼠径部にφ9cm大の膨らみを触知し、鼠径ヘルニアを疑いました。
体重は3.1kgで少し太っています。食欲や排便もでており、明らかな消化器症状はありません。

最近になってしこりは雪だるま状に二段に増大したとのことです。
触診するとヘルニアの内容は可動性があり、拡大したヘルニア輪から出入りが可能なようです。

レントゲン検査を行うと、ヘルニア嚢内には腸管が入り込んでいるのが分かりました。
いつ腸閉塞が起こっても不思議でない状態です。
鼠径ヘルニア整復手術を行うことにしました。


膨らみの直上の皮膚を切開すると薄い袋状のヘルニア嚢内に腸管がぎっしり詰まっていました。

慎重に圧迫しながら脱出した腸管を腹腔内に押し戻しました。
腹圧がかかるとすぐに脱出しますので押さえ込みながら拡大したヘルニア輪を縫縮していきました。

腹膜、皮下組織、皮膚と慎重に縫合しましたが、腹圧がかかったときに再脱出することがあります。
手術翌日には術創部に軟性の腫脹を認めました。

術後のレントゲン検査ではヘルニアの再発は認めず、手術から2日後に退院しました。


手術から10日後の抜糸時。術創部の腫脹は消失し、ヘルニアの再発も認めませんでした。
排便も良好で、今まで小さな団子が連結した様な形状だった便が、大きな塊で出る様になったとのことです。

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2018年9月30日 日曜日

耳垢腺腫による慢性の外耳炎の新しい治療法 コッカースパニエル オスルニア



コッカースパニエルは外耳炎が慢性化しやすい犬種です。その他、シーズーやレトリバーなど垂れ耳で、脂の分泌が多い犬種では特に夏場は耳の中が蒸れた環境となり、脂を好むマラセチアが繁殖して外耳炎を起こします。原因菌となるマラセチアはカビの仲間の酵母菌で、エサとなる脂がたっぷりあり蒸した環境で勢い良く増殖します。また、ブドウ球菌等も同時に繁殖して外耳炎を悪化させます。

耳の汚れとにおいが気になり来院されました。垂れ耳をめくると汚れが耳毛に絡み化膿しています。
治療法は、エサとなる耳道内の脂汚れを洗浄し、抗真菌剤・抗生剤・消炎剤などを点耳します。

まずはバリカンで耳毛を整理して汚れを洗浄します。

病院でキレイに掃除して、その後は自宅でも毎日、洗浄や点耳をしていただきますが、1週間後の再診時にはまたひどい汚れになっていて、外耳炎がなかなか良くならないことがあります。その原因には、犬が動き回って薬が耳道にうまく入っていない場合や、炎症により腫れて耳道が狭くなっているために薬が上手く入らないことなどが考えられます。

今回はコッカーに多い、耳垢腺腫が多発したことにより耳道が狭くなり、更に耳垢の分泌も多くなったことで慢性の外耳炎となっていました。
耳垢腺腫は良性腫瘍ですが慢性外耳炎の原因となり、全耳道切除術という大きな手術が行われることもあります。


今回はオスルニアというゼリー状の点耳薬を狭くなった耳道内に注入する治療法を行いました。
お薬は耳道内に留まりますのでご自宅での処置は不要で、1週間後にもう一度処置をするという画期的な治療法です。

大抵は2回の治療で良くなりますが、今回の様に耳垢腺腫が存在している場合や、難治性の外耳炎では再び悪化したら追加しています。
オーナーさんからはご自宅での点耳の手間がなくなり大変好評です。

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2018年9月14日 金曜日

今年も地域マイスター講話に参加しました レオどうぶつ病院   青葉区 鴨志田町



今年も鴨志田中学校でのキャリア教育プログラム「地域マイスター講話」に参加しました。
鴨志田周辺地域の色々な業種の人達が地域マイスターとして生徒たちに「夢」を語ります。
仕事を通して「社会で生きると言うこと」を伝え、中学生を励ますのが目的です。


今年はたくさんのマイスターが集まりました。
自分自身も毎回、他のマイスターのお話を少しずつ聞くのが楽しみです。

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2018年9月 7日 金曜日

西日本豪雨災害の募金を送金しました


平成30年西日本豪雨災害動物救護活動等支援金にご協力ありがとうございました。

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昨夜の集計で集まりました¥7999を本日、送金いたしました。

被災地の一刻も早い復旧をお祈りします。

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