レオどうぶつ病院 診療日記

2020年8月 1日 土曜日

最新のエコー装置を導入しました

近年の医療用画像診断装置の進化には目を見張るものがあります。超音波画像診断装置、いわゆるエコー装置の最新機種を導入しました。開院して間もない頃に導入した当時の最新機種も(まだ使えますが)、十数年が経ちリニューアルをいたしました。装置自体のグレードは同レベルでも臓器の見え方は格段に上がり、今まで見えなかったものが見えるようになった印象です。

大学病院等の2次診療施設などでは麻酔下でのCTやMRIといった断層撮影の技術で、細かい部分まで立体的に観察することができるようになりました。一般の診療所でもレントゲン検査とエコー検査を組合わせることで、全身麻酔をかける必要なく臓器の内部構造をイメージすることが可能となります。
健康診断にも血液検査だけでなく、画像診断を組み入れることが病気の早期発見に有効です。

投稿者 レオどうぶつ病院 | 記事URL

2020年7月 4日 土曜日

ペットとのドライブでは熱中症に注意

13歳のラブラドール・レトリーバーが呼吸促迫で緊急来院しました。よだれを垂らしながら舌を出して激しく呼吸し、舌の色も悪くチアノーゼを起こしています。体温を測ると41.7℃。早く冷却しないと危険な高熱です。
約1時間半のドライブ中に呼吸が荒くなってきたとのこと。車内はエアコンを付けていましたが、熱中症が疑われます。

直ぐに呼吸症状改善の注射と点滴を開始し、体をぬらしながら直腸内を冷水で洗腸しました。直腸に注入した冷水は直ぐにお湯になって出て来ます。肛門から出てくる水が冷たくなるまで、何度も冷却を繰り返しました。
その後、しばらく酸素を吸入しながら過ごしました。呼吸は落ち着いて、体温は平熱に戻り、夕方には退院できました。幸い高熱による、脳への障害も起こらなかったようです。
これから暑い日が続きます。熱中症にご注意ください。

投稿者 レオどうぶつ病院 | 記事URL

2020年6月27日 土曜日

アレルミューンを使用した減感作療法により改善した       難治性膿皮症のヨークシャーテリア



ランチちゃんは5歳齢のヨークシャーテリア。3歳頃より体の痒みが強くなり、全身の皮膚に膿皮症(細菌性皮膚病)を認めるようになりました。シャンプー療法と抗生物質の投与で改善傾向を認めますが、しばらくすると再発します。
皮膚のバリア機能不全を疑い、保湿等皮膚のケアに力を入れ、痒み止めの薬なども併用しましたが、どうしても皮膚病をぶり返してしまいます。
難治性の皮膚バリア機能不全の背景には基礎疾患が絡んでいることがあります。そこでアレルギー検査を行いました。
アレルゲンIgE検査では食物や花粉などには反応が見られなかった一方、ハウスダストのダニに反応が見られ、特にハウスダストのダニのタンパクであるDer f2 IgEにおいて著高を認め、犬アトピー性皮膚炎を疑いました。
そこで、アレルミューンという注射を使った、Der f2タンパクに対する減感作療法を行いました。

減感作療法は犬アトピー性皮膚炎の主なアレルゲンの一つであるハウスダストに含まれるタンパク質を、週1回ずつ徐々に用量を増やしながら、6回の注射で症状を改善させるものです。
3週目の注射頃より徐々に皮膚は落ち着き、6回目の終了時には比較的良好な皮膚の状態となっていました。

その後は3ヵ月に一度、追加の注射をするパルス療法を継続し、今年は蒸し暑くなった現在も皮膚病の薬は不要となりました。
本人の痒みから解放され、ストレスフリーの生活を送れるようになりました。

投稿者 レオどうぶつ病院 | 記事URL

2020年6月 6日 土曜日

高齢犬の自壊したイボの結紮処置

もうすぐ17歳になるミニチュアダックス・ワイヤー。

体中にいぼが散在していますが、1年前に発見した左耳の外側にできたイボが、この2~3ヵ月で増大し、自壊出血するようになりました。3年前に2次診療施設で小脳炎と診断されてから薬で維持していますが、麻酔をかけることは難しいと言われています。

左耳介外側の腫瘤は約2cm大で表面は自壊していますが、耳介軟骨に固着は認めず。腫瘤の基部には少しくびれがあり、局所麻酔での結紮処置を行いました。手術用の糸で基部を結紮をすることで、腫瘤への血流を遮断します。

1週間後、しこりが乾いてきて昨日ポロリと取れたと来院されました。本人は痛がることもなく出血もありませんでした。かさぶたになってはいますがキレイに取れて飼い主さんは喜んでいました。

投稿者 レオどうぶつ病院 | 記事URL

2020年3月29日 日曜日

チワワの耳の縁から出血 耳介辺縁壊死症


4歳のチワワ。以前より時々耳の汚れをクリーニングしていましたが、3歳になる頃より耳介辺縁は脱毛し、出血して痂皮ができるようになりました。外耳炎の治療薬を塗っても改善しません。カビを疑い真菌培養をしましたが結果は陰性。

冬になり症状は悪化していきました。皮膚科の専門医とも相談し犬の耳介辺縁壊死症と診断しました。

耳介辺縁壊死症の原因は免疫異常やホルモン異常、毛細血管の血栓や寒冷による末端の血行障害など、いくつもの要因が関連しているやっかいな病気です。それらに対する薬を配合して長期的に与えることとしました。
寒冷刺激が悪化要因となりますので、冬季の外でのお散歩は控えるようにします。嫌がらないワンコなら頭に防寒用のスヌードなどをかぶるのも有効です。痂皮がはがれると出血しましたが、温浴することも有効でした。

治療開始から2ヵ月後、お泊まりに来院した際には大分キレイになっていました。

これから暖かくなるともっと良くなるね。

投稿者 レオどうぶつ病院 | 記事URL

カレンダー

2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30