しこり・がんの相談
ペットのがんの早期発見!チェックリスト ~小さなサインを見逃さないために~
よくある症状の中にも「がん」が隠れていることがあります。
さまざまな病気の可能性が考えられます。
肥満細胞腫、胃のがんの可能性
直腸がんの可能性
直腸のがん、直腸を圧迫するがんの可能性
膀胱がんの可能性
腹腔内のがんの可能性
骨や関節のがんの可能性
口腔内のがんの可能性
鼻のがんの可能性
肺のがんの可能性
皮膚のがんの可能性
腹腔内のがん破裂の可能性
再発・新病変の可能性
さまざまながんの可能性
口腔内のがんの可能性
さまざまながん(病気)の可能性
がんの好発年齢
犬の3大疾病
犬の3大死亡原因のひとつである「悪性腫瘍=がん」。大切な家族であるペットの命を救うには飼い主さんのスキンシップが重要です。
がんは触って発見できるものが半分以上です。日頃のスキンシップで体中触ってあげることが大切です。外から触ることのできない胸の中や、お腹の中のがんを早期発見するにはレントゲン検査や超音波検査などの画像診断が役立ちます。初期のがんでは血液検査に異常が出ることはほとんどありませんので、7歳以降の中高齢期には画像検査を組み合わせた検診をお勧めします。
ペットの平均寿命が延び、犬では人と同様にがんが死因のトップとなっています。がんは心臓病や腎臓病と同様に年を取れば誰もがかかる可能性のある慢性疾患のひとつと言えます。「がん」という言葉には「不治の病」というイメージがありますが、早期発見・早期治療により完治の可能性もある病気なのです。
しこりは全てがんなの?
しこりを見つけたら以下のことを教えてください。
●いつ頃見つけたのか?(何年も前/ごく最近)
●増大速度は?(ゆっくり/急速)
●増大や縮小を繰り返してないですか?
●痛みや痒みはないですか?
形だけではそれが何なのか分かりませんので、細胞診(細い注射針で細胞を吸引)をします。どんな細胞が採れたかにより、判断するのです。腫瘍なのか、非腫瘍なのかで治療法は大きく異なります。
そこにあるはずのない細胞がたくさん採れていたら腫瘍の可能性があります。さらに腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)があります。細胞診では細胞の悪性所見を判断するのです。
炎症性の細胞が取れていれば抗生剤や消炎剤などのお薬で治るかもしれません。良性の病変であれば経過を見ながら治療を考えて行きます。
周りの正常な組織を巻き込み急速に増殖していきます。進行するとリンパ節や肺などに転移しますので早目の対応が必要となります。
良性腫瘍が疑われるならば、あわてて手術をする必要はありません。経過を見ながら変化が認められるなら次の検査へと進みます。
しこりが見つかった!何をすれば良いの?
1. カウンセリング:
お話しを聞かせてください。しこりのヒストリー(いつ見つけたのか?増大傾向は?など)や、気になっている症状を教えてください。
2. しこりのチェック:
大きさ、部位、硬さ、周囲組織との固着などを確認します。同時に切除が可能なのか?手術の見積もりもしています。
3. 超音波検査でしこりの内部の状態やリンパ節、周囲組織の状態をチェックします。胸の中やお腹の中のしこりは超音波で確認しながら細胞診します。
4. 細胞診は細い注射針でしこり内部の細胞を採取します。通常は麻酔の必要はありません。採取した細胞はその場で染色し、当院では約15分で判定します。
5. レントゲン検査でリンパ節や肺などへの遠隔転移の有無を確認します。これによりがんの進行度(ステージ)分類するのです
6. 全身のチェックや血液検査から全身状態を評価します。手術や治療に耐えられる体力があるのか見極めます。
7. 全てのデータを総合し、どの様ながんが疑われるのか?その進行度からどの様な治療の選択肢があるのかお話しし、飼い主さんと一緒に治療方針を決定します。
しこりがあったらすぐ手術ではなく、まずはそのしこりがどの様なものなのかを見極めます。非腫瘍や良性腫瘍の場合にはあわてて手術する必要はありません。しかし、がんが疑われる場合には早めの切除が有利ですので、良性・悪性の素早い見極めが大切なのです。
進行度で治療方針が変わってくる
同じがんの病名でもその進行度によって治療方針を変える必要があります。
早期に発見できた場合には完全切除により完治を目指します。
がんが増大して周囲組織に浸潤したり、領域リンパ節に転移が認められるステージⅡ~Ⅲの段階では、がんの拡大切除と術後の補助療法を組み合わせることで可能性に掛けた治療を行います。患者の状態や飼い主さんのご希望により、がんとの共存を考えた方が有利なこともあります。
遠隔転移の認められる進行したがんの場合には、完治を目指そうとするとかえって患者を弱らせてしまうことになりかねません。患者のQOL(生活の質)の維持を第一に考え、がんとの上手な共存を目指します。
このようにがんの進行度により適切な治療方針を立てることが大切なのです。