c.乳腺腫瘍

2018年6月 8日 金曜日

犬の乳腺腫瘍に対する低侵襲手術と術後管理           横浜市青葉区 レオどうぶつ病院 腫瘍科 



11歳のオーストラリアンケルピーの女の子が乳腺部のしこりに気づき来院しました。
左第3乳腺部に存在するしこりはφ2.3×1.8cmで硬く、乳頭から連続しており、底部の筋層との固着はありません。
この2週間で増大が認められています。

また、1年半前に右前胸部皮下に発見し、細胞診で脂肪腫を疑っている腫瘤も増大してきているとのことでした。

術前の左第3乳腺部腫瘤の細胞診では悪性乳腺腫瘍を疑いました。

顕微鏡写真は乳腺部腫瘤の細胞診で悪性所見が認められる。(乳腺腫瘍の細胞診では良悪の判定はできないと言われているが、悪性所見が認められる場合は病理検査の結果も悪性であることが多い)

画像検査より明らかな転移を疑う所見はなく、ステージ1の悪性乳腺腫瘍を疑い根治目的の外科手術をすることになりました。
右胸壁皮下腫瘤は良性の脂肪腫の疑いでしたが徐々に増大が認められ、オーナーの希望から同時に摘出することとしました。


乳腺腫瘍の摘出術には乳腺組織全摘出などの拡大切除の術式もありますが、最近の報告により術後生存期間には手術の大きさよりも腫瘍の悪性度や転移所見が関与することが分かってきました。患者の年齢や想定する腫瘍の種類を総合的に判断し、低侵襲でありながら効果のあると考えられる術式を検討しました。

左第3乳腺部のしこりは周囲の正常な乳腺組織を含めての切除を、右胸壁の皮下腫瘤は直上の皮膚切開をしての切除を行うこととしました。


左第3乳腺部のしこりは、周囲の正常な乳腺組織を含めて切除しました。腫瘤底部の固着は認められません。


右胸壁皮下腫瘤は直上の皮膚を切開し、腫瘤を周囲組織と鈍性に剥離し摘出しました。

術後は傷口を舐めないようにエリザベスウェアーを着用しました。
術後の経過は非常に良好で翌日に退院しました。

後日、病理検査の結果は左第3乳腺部は悪性筋上皮細胞腫と、右胸壁皮下腫瘤は脂肪腫と診断されました。
ご希望によっては術後の補助的化学療法も適応となりますが、ステージ1の段階で外科手術により腫瘍を切除できましたので、今後は再発や転移を注意しながら経過観察をしていきます。





投稿者 レオどうぶつ病院

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