レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ

2022年2月19日 土曜日

いぬのきもち2月号の記事を監修しました 犬皮膚肥満細胞腫


いぬのきもち2月号の監修をいたしました。
今回のテーマは皮膚肥満細胞腫。犬の皮膚に最も多く発生する悪性腫瘍です。


肥満細胞って何なの?と言うところから、飼い主さんが気付きやすいポイントを書き出しました。
しこりの細胞診をすることで診断が付きます。
治療法の基本は外科切除ですが、治療が困難な高グレード肥満細胞腫に対する分子標的療法についても記載しました。

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2021年12月26日 日曜日

精巣腫瘍が急速増大した鼠径部停留精巣の犬            セルトリー細胞腫


8歳のトイプードル。幼犬の頃より停留精巣と言われ、精巣はどこにあるか確認できなかったとのことでした。
最近になり内股にしこりが急速に増大し、去勢手術を希望して来院しました。

診察では両側鼠径部(内股)に精巣を認め、腫瘍化した鼠径部停留精巣を疑いました。
レントゲン検査では肺転移や腰下リンパ節群の腫大は認めず、手術を行うこととしました。


術後の病理組織検査では精巣は両側ともセルトリー細胞腫と診断されました。

精巣腫瘍は早期であれば去勢手術により根治することが可能ですが、進行すると転移したり、不可逆性の貧血を起こし命に関わることもあります。
停留精巣は陰嚢に治まった精巣と比べ、精巣腫瘍になるリスクが高くなります。鼠径部停留精巣では7倍、腹腔内停留精巣では30倍のリスクとも言われていますので、早めの去勢手術を検討すると良いでしょう。

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2021年10月29日 金曜日

いぬのきもち12月号に院長監修の犬のがん特集が掲載されました


雑誌「いぬのきもち」12月号の特集記事「愛犬のがん闘病記」の監修をいたしました。
当院に来院している2頭のワンちゃんの飼い主さんに取材協力いただきまして、とても良い記事ができたと思います。
ペットも高齢化により「がん」と診断されることも増えている中、飼い主としてどの様に対処していくか、心構えなどの一助となれば幸いです。

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2021年6月26日 土曜日

病的骨折を伴う骨病変に対するビスホスホネートの効果

15歳、雌のラブラドール・レトリーバー。4ヵ月前より左後肢をかばっていました。
主治医の元でレントゲン検査にて、股関節周囲が溶けていると言われ断脚を勧められ、現在は痛み止めの内服をおこなっています。
3日前に後肢のマッサージをしていたら骨が折れるような音がして、立ち上がることができなくなったと来院しました。

レントゲン検査を行うと左大腿骨遠位(膝に近い方)にて骨折していました。
また、矢印で示す大腿骨近位(股関節に近い方)は骨溶解を認め、その周囲(左臀部)は硬く腫脹していました。
血液検査では骨病変の影響と思われるALPの上昇とCRPの上昇、軽度の貧血を認めました。

臀部の腫脹部より細胞診を行いました。骨肉腫であれば断脚をしても根治は困難であることからオーナーは痛みの緩和ケアを希望しました。
後日、細胞診の結果は異型性の強い紡錘形細胞を少数認め、発生状況などを加味すると骨肉腫などの非上皮性悪性腫瘍の可能性が疑われました。
そこで骨折による痛みの改善と骨溶解部の再化骨化を期待してビスホスホネート(ゾレドロン酸)の投与を行いました。

1回目の投与から2週間後、ビスホスホネートが著効し、痛みが改善し歩き始めました。
レントゲン検査では骨折部はズレていましたが、わずかに石灰化を認めました。
股関節の骨溶解部にもわずかに石灰化を認めました。

治療開始から7週間。3回目のビスホスホネート投与を行いました。
左大腿骨の骨折部と骨溶解部は更に石灰化が進み、太い頑丈な骨となっていました。

前回よりもスムーズに歩けるようになっていました。
左股関節直上の臀部硬結病変は縮小傾向を認めました。
今のところ肺転移を疑う所見もありません。

骨溶解と病的骨折を起こした骨病変が骨肉腫であったのかは確かではありませんが、ビスホスホネートは骨溶解病変や骨折部の骨増生と痛みの緩和には劇的な効果を示しました。今後は快適な余生を過ごせるように維持できると良いですね。

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2021年6月16日 水曜日

ACNU投与が奏功したバーニーズの肺に発生した組織球肉腫


花梨ちゃんは7歳のバーニーズ・マウンテンドッグの女の子。健康診断で肺のレントゲンにしこりを認め、細胞診により組織球肉腫が疑われ、当院に紹介受診しました。
当院初診時、胸部レントゲン検査にて右肺中葉領域に不透過像を認めました。

臨床症状はなく、血液検査でも大きな異常は認めません。麻酔をかけての確定診断は希望されず、犬種と細胞診の所見から肺に発生した組織球肉腫と臨床診断し、治療を開始することとしました。組織球肉腫は局所療法として肺葉切除を行うこともありますが、多くの場合は早期に再発や転移が起こり播種性組織球肉腫に移行するため、全身療法である化学療法を行います。しかし、抗がん剤の反応は悪く診断後の予後は厳しいと言われています。
さまざまな抗がん剤の中でCCNUという薬の効果が報告されています。
そこでCCNUによる化学療法を開始することにしました。

輸入薬であるCCNUはコロナの影響もあり現在入手困難となっています。
4週に一度のCCNUの治療は心配した大きな副作用もなく行うことができました。
その頃、お家にはもう一頭の若いバーニーズの女の子、リロちゃんを迎えました。一緒に遊んだりすることで、花梨ちゃんは今まで以上に元気が出てきました。

治療開始から2ヵ月。3回目の投薬をする頃には肺の病変が縮小しました。
CCNUは腫瘍の縮小効果を認めましたが、血液検査で副作用の一つである肝臓の数値の上昇を徐々に認めました。
そこでCCNUの投与は3回で終了し、その後はACNUに切り替えることとしました。

ACNU(ニドラン注)は日本の薬であり、入手困難となったCCNUに替わる薬として使われ始めています。
3週に一度、静脈注射を行いました。心配した副作用は認めず、肝臓の数値も徐々に改善しました。
3回目のACNUを投与する頃には旅行に出かけたりして、元気に8歳の誕生日を迎えました。

治療開始から5ヵ月。5回目のACNUを投与する頃には肺の病変がわずかに目立ち始めました。
本人は至って元気で、リロちゃんと毎日散歩をしていました。

治療開始から6ヵ月。7回目のACNU投与の頃には、喉が絡んで咳をするようになりました。レントゲンでは肺の病変の増大を認めました。
肺炎予防の薬の内服を始めました。

治療開始から7ヵ月。熱が高くなり食欲が落ちる日があり、抗がん剤治療は中断しました。
肺炎の治療として自宅でのネブライザー療法を開始しました。
一時、血便になり食欲もなくなりましたが、ネブライザー療法の効果が出て呼吸は安定し、少しずつ食べるようになりました。
状態は大分安定し、もう一度可能性にかけてACNUを投与しました。
その後も落ち着いていたため、久しぶりのグルーミングの予定や、次の旅行も計画していました。

治療開始から8ヵ月。その日も大好きなジャーキーを沢山食べて落ち着いていましたが、夜間に苦手な雷をきっかけに呼吸が苦しくなりました。ネブライザーの吸引により呼吸は落ち着き眠ることができましたが、未明に穏やかに息を引き取りました。

バーニーズやフラットに好発する組織球肉腫は、急速に進行して早期に亡くなることが多い病気ですが、今回ACNUの投与により8ヶ月間ではありましたが延命することができました。その間、元気に旅行に行ったり、飼い主さんと楽しく過ごした時間は貴重なものだったと思います。
花梨ちゃんのご冥福をお祈りいたします。(6/26加筆しました)

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