レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ

2014年6月24日 火曜日

細胞診や増大傾向だけでは分からない犬の乳腺腫瘍の良悪

症例① トイ・プードル  10歳 未避妊雌(出産歴あり)

4年前に発見したφ0.4㎝に乳腺部のしこりが徐々に増大。3か月前に急速増大し外科切除をお勧めしたが、しこりの内部に貯留した液体の吸引除去により軽度縮小し、貯留液の細胞診では乳腺炎を疑う所見があったため抗生剤の投与を行った。

その後も増大しては吸引除去を繰り返していたが、徐々にしこりが吸引除去できない内容に変化してきた。いずれにせよこのまま増大を続ければしこりの自壊から生活の質は落ちることが予想され、外科切除に踏み切った。

乳腺部には右側第3乳腺部φ1.4×0.9㎝と右側第4‐5乳腺部にφ5.8×3.8×3.3㎝の巨大な腫瘤が存在していた。術前の画像検査からは転移を疑う所見は認めなかった。悪性ならば進行度はT3N0M0ステージⅢの乳腺腫瘍を疑い、右側第3‐5乳腺切除とソケイリンパ節廓清を行った。



病理組織検査の結果はいずれも良性乳腺混合腫瘍であり、手術にて完治した。


症例② ミニチュア・ダックスフント  6歳 未避妊雌
10ヶ月前にφ0.9㎝大の乳腺部のしこりを発見した。細胞診にて上皮系細胞集塊を認め乳腺腫瘍を疑った。しばらく増大は認められなかったが、2か月前より増大傾向を認めたため外科切除をお勧めした。

腫瘤は右側第2乳腺部皮下に遊離して存在しφ1.3×1.2×1.0㎝大に増大していた。領域リンパ節や肺には転移を疑う所見はなく、悪性ならば進行度はT1N0M0ステージⅠの乳腺腫瘍を疑い、右側第2乳腺部分房切除術と同時に今後の残存乳腺組織への新病変発生のリスクを下げる目的で卵巣子宮摘出術を行った。


病理検査の結果は悪性乳腺混合腫瘍であり、初期の段階での完全切除により根治の可能性もあり経過観察中である。


犬の乳腺腫瘍では良性であっても炎症を伴う場合や乳汁など液体の貯留がある場合には急速増大が認められる。一方、細胞診で明らかな悪性所見がなく比較的ゆっくりとした増大を認める場合でも今回のように悪性腫瘍のことがあり注意が必要である。

乳腺腫瘍を疑う場合には増大傾向や細胞診を含めた総合的な臨床所見から適切な手術時期を見極めること。進行度や年齢、基礎疾患の有無などから的確な手術目的の設定と術式の決定が大切である。

投稿者 レオどうぶつ病院

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