レオどうぶつ病院 診療日記

2019年1月 6日 日曜日

減感作療法で改善した犬の呼吸困難               アレルミューン アレルバックス


呼吸困難を主訴に10歳のペキニーズが来院しました。
もともと鼻孔狭窄がありますが、3年ほど前より呼吸が荒くなり動きたがらず、遊ぶこともなくなりました。
お腹のブラッシングをした後などに時々発作的に呼吸困難になるとのことでした。

いよいよ呼吸困難で眠れなくなり、二次診療施設を受診し、鼻腔内腫瘤の摘出手術を行いました。その後、1年間は何とか過ごしましたが再び苦しくなり、再度鼻腔内腫瘤の摘出手術を行いました。病理検査の結果は、いずれも良性のポリープだったようです。

呼吸の症状は春などに悪化するので、花粉などのアレルギーも心配です。
そこで、アレルギー検査を行うこととしました。

犬のアレルゲン特異的IgE検査の結果は、花粉などの環境アレルゲンは陰性であり、食物アレルゲンも陰性でした。
しかし、Der f2特異的IgEには強陽性を示し、アトピー素因があることが分かりました。

Der f2タンパクはハウスダストのダニに含まれるタンパクで、アトピー性皮膚炎の主要な原因アレルゲンです。
犬のアトピー性疾患はアトピー性皮膚炎が代表的ですが、今回の呼吸器の症状はハウスダストの吸引によるアレルギー症状ではないかと疑いました。
そこで、アトピー性皮膚炎の治療に準じたアレルギーの治療を行うこととしました。
今回は、原因がDer f2に絞られていますので、Der f2に特化した減感作療法を計画しました。

近年、犬のアトピー性皮膚炎に対する原因療法として減感作療法が実用化されました。
減感作療法は犬のアトピー性皮膚炎の主なアレルゲンのひとつであるハウスダストマイト(チリダニ)に含まれるタンパク質を、週1回ずつ徐々に用量を増やしながら、6回投与(注射)することによって症状を改善させるものです。新しい治療薬「アレルミューン」は以前の減感作療法薬と比べ、投与回数が少なく、投与期間が短くなりました。さらに安全性と有効性を高めた次世代型の減感作療法薬です。

治療の注射自体でアレルギー反応がでる可能性があるため、予防と治療を兼ねて抗ヒスタミン剤の内服を開始しました。
自宅のカーペットやクッションなどの念入りなお掃除とともに、「アレルバックス」のスプレー噴霧を行ってもらいました。
「アレルバックス」はダニ由来アレルゲンであるDer f2をブロックする抗体を含むスプレーであり、画期的な製品です。

抗ヒスタミン剤の内服と「アレルバックス」の噴霧により、くしゃみや鼻汁、引き付け様の呼吸も軽減しました。

そして、いよいよ「アレルミューン」の注射を開始しました。
1回目の注射後には、ぬいぐるみで遊んだ後の皮膚の痒みが軽減しました。
2回目の注射後には、夜間何度も起きることがなくなり、安眠できるようになりました。
3回目の注射後には、活発になり、動いて遊ぶようになりました。
その後の治療もアレルギーなどの副反応はなく、6回の注射が終わりました。
治療終了から1週間が立ちますが、調子は良好です。

今回は、減感作療法により慢性の呼吸器症状が改善しました。同時に皮膚の痒みの症状も改善していることから、アトピー性の呼吸器症状と皮膚炎の併発であったことが予測されました。お腹のブラッシング後などに起こった引き付け様の呼吸発作は、被毛に付着したハウスダストの吸引が要因として考えられます。また、鼻腔に発生したポリープ病変はアレルギーによる鼻腔粘膜の慢性炎症が引き金になっていることが予想されました。

投稿者 レオどうぶつ病院

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