レオどうぶつ病院 診療日記

2021年6月 5日 土曜日

フリースタイルリブレを使用した犬猫のハイテクな糖尿病管理

糖尿病の動物を飼い主さんが毎日インスリン注射をしてコントロールするのは大変なご苦労かと思います。

初めはおっかなびっくりだった注射も慣れてくる頃には、糖尿病の動物も元気になってくることでしょう。
しかし、インスリンの投与量を決定するまでに苦労することもあります。
入院してインスリン注射後の血糖値の推移を測定し、血糖値曲線を出します。

その結果により注射の何時間後に最低血糖値になるのか、下がりすぎて低血糖にならないか、次の注射のタイミングは何時間後が良いかなどを検討するのです。そのためには何回か入院して、その日は何度も採血する必要があります。猫では入院や採血のストレスで高血糖になることもあります。
また、ご自宅では尿糖試験紙を使って毎日の尿糖やケトン体を試験紙の色の変化でチェックします。ただし、血糖値ほど正確に現在の状態を反映してはいないので、尿のチェックだけでインスリン量の決定も難しいのです。

今回、フリースタイルリブレというハイテクな機器を使用した糖尿病の管理をご紹介します。
動物の体に3cmぐらいのセンサーを取り付けると、センサーに読み取り機を近づけるだけで、採血なしに何度でも血糖値が測れるのです。
インスリン治療開始時の安定しない時期に、患者動物が家にいながらコントロールが可能になるのです。


マロンちゃんは糖尿病にクッシング症候群や膵炎が併発していたため、大学病院にもお世話になりながら治療しました。
インスリンの種類を変更することとなり、2回目のリブレセンサーを当院で装着しました。

取り付け部位を剃毛します。
高価なセンサーが剥がれてしまうともったいないので、医療用のノリスプレーを付けています。

取り付けに麻酔の必要はありません。
センサーには毛のような柔らかい針が付いていて、そこから毎回測定しているようです。
表面をドレッシングフィルムで保護しました。

設置後、しばらくして読み取り機をセンサーにかざすと血糖値が何度でも測れるようになります。
専用のリーダーの他にも、自分のスマホにアプリを入れれば読み取り機として使えるようです。

何回か測定したデータをパソコンに取り込むと血糖値曲線を出したり集計できます。

データの解析より最適な投与量とタイミングを検討しました。
血糖値が安定してきたことで、痩せてしまった体重が戻り、筋力も戻ってきました。

投稿者 レオどうぶつ病院

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